・概 要

 伝統ある山車、屋台、山鉾、だんじりなどの曳山(ひきやま)は贅を尽くして、その時代の技術の粋をふんだんに盛り込んであるものが数多くあります。そういった貴重なものの修復に、”漆(うるし)の代わりにニスを使う”とか、胡粉(ごふん)の代わりにペンキを使う”などはなかなかできにくいものです。できるだけ当時の技法で修復していくことが多いのではないでしょうか。それは昔からの祭礼行事を大切に守っていくという、気概のようなものと思われます。

 しかしながら、ろうそくと電球ではそれらの違いよりはるかに大きいものです。伝統ある曳山に、ただ明るく点灯する電球はふさわしくないように見えます。とはいえ、”貴重な曳山に火の出るろうそくは使いたくない”という考えも無理からぬことと思います。

 当方では、長年の研究を通して特許も取得しました、電子和ろうそく[電揺灯]を提案いたします。本物の和ろうそくの光をデータとして取り込んで、外部から受ける振動も忠実に炎の変化として再現します。提灯に取り付けた状態で、ほとんどの人がろうそくの炎に見えるよう、取り組んできました。いくつかの祭りで、実際に使用された時の映像も下記「実際の祭りでの使用例」でご覧いただけます。
 

・開発の背景

 全国の祭礼行事として曳山(山車、屋台、山鉾、だんじりなど)祭りが随所で行われています。近年、曳山に使用する提灯の光源としてろうそくの代わりに電球を使用されることが多く、ろうそくを使用しているところは少数になっています。ところが電球では炎の揺らぎが全くなく、本来の情緒が得られにくくなります。ろうそくは点灯、消灯の手間や出火の危険性などで敬遠されていますが、それらの問題点を解決した製品作りを目指しました(詳しくはこちらをご覧下さい)。

 曳山の灯りとして理想的なものを検討した結果、和ろうそくが最良との結論になりました。和ろうそくは独特の炎のゆらぎにより、えも言われぬ雰囲気をかもし出します。この炎は、古くから伝わる日本の文化と言っても過言ではないと考えています。曳山祭は江戸の町人文化が発展した頃に隆盛を極めたと伝えられています。その頃の雰囲気を味わえたらと思う人も少なくありません。しかし、和ろうそくを曳山に使用しているところはあまりありません。理由は高価なことの他に、炎が大きいので取り扱いが非常に難しいなどがあげられます。

 そういった背景のなかで、和ろうそくの炎を再現し、消費電力の少ない電子ろうそくができたらいいのではと考えました。提灯につけた状態で本物のろうそくが灯っているような製品開発を目指しました。LEDを使用して通常の炎の揺らぎと、外部から加わる走行時の振動を検出して炎の変化を再現可能な製品化に取りくんでいます。ろうそくを徹底的に分析して静止状態の炎の揺らぎや、上下左右の動きによる炎の変化を小型マイコンによって再現しています。

 

・本製品の特徴

 和ろうそくの揺らぎを忠実に再現した本製品は、伝統ある祭りの雰囲気を高めることが出来ます。重要文化財クラスの祭りにご使用いただいても見劣りしないものです。

 提灯に使用される電球は明るいものは消費電力が大きくなり、発電機や大型バッテリーが必要になります。LEDは電球などに比べ消費電力を大幅に(1/8〜1/10程度)小さくすることができ、自動車などに使用される小型バッテリーに置き換えが可能になります。
 本製品は直流電圧仕様(12〜24V)なのでカーバッテリー等から給電することで、比較的簡単に設置することが可能です。明るさは10〜20Wの電球と同程度です。

バッテリー使用時間の解説はこちらになります。
 
和ろうそくとの比較動画はこちらでご覧いただけます。
 

実際の祭りでの使用例
川  越  祭

画像をクリックすると動画がご覧いただけます。
 
埼玉県川越市の”川越祭”の宮下町山車に約50個の電子和ろうそくを取り付けて巡行した動画です(丸提灯、高張提灯、弓張り提灯)。
こちらは2017年に製品を正式採用していただき、祭りに参加しています。
熊谷うちわ祭

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埼玉県熊谷市の”うちわ祭”では2018年に伊勢町山車に採用され、55個の電子和ろうそくを取り付けた時の動画です。
Kumagaya
画像をクリックすると動画がご覧いただけます。
 
”うちわ祭”に弓張り提灯10個に電子ろうそくを使用して参加しました。そのほかは本物のろうそくを使用しましたが、ほとんどの方は違いが判らないとのことでした。
袋井秋祭り
Fukuroi
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左の動画は静岡県袋井市の萱間(かやま)にある祭屋台に、17個の電子ろうそくを取り付けて巡行した様子です。今回は2輪なので少し不安があったのですが、4輪よりも振動が少なかったようです。
手持ちの弓張り提灯にも1個付けていただきました。
楡木大杉神社夏祭り
Kanuma
画像をクリックすると動画がご覧いただけます。
 
左の動画は栃木県鹿沼市楡木の祭り屋台に実際に取り付けて動かしたときの様子です。
後面の20個の提灯に電子ろうそくを付け、2日間動作させました。車用小型バッテリ(38B19L)で2日間使用しても充分な残量がありました。

内部の詳細説明はこちらを、取り付け法などはこちらをご覧下さい。


技術的な問い合わせはこちらからお願いします。
 

埼玉新聞2017年2月19日付に掲載されました。
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